徒然HSP日記

20代、HSP女子が生きやすい生き方を探る。

春よ来い

わたしは毎日、空気の匂いを確かめる。


この間渋谷で地下鉄から地上に出たとき、ザルツブルクでの朝を思い出した。


匂いが、過去とか理想を思い起こさせる。


たとえば桜の咲いている春の夜の匂いがするとき、思い出すのは、地元でお祭りの笛の練習をしていたことである。

 

 

桜が咲き始めたころ、4月の末にあるお祭りのために、夜ごと集まって、男は太刀振りの、女は笛の練習をするのだ。


練習のときはいつも桜が咲いていて、練習場所の広場には大きな桜の木があった。わたしはその桜の木の下で、春の毎夜、笛を吹いて時間を過ごした。


何年も、何年も。


春の夜の匂いと、舞う桜の花びらと、地面に響く太鼓の音、しなやかな太刀振りの動き。


わたしは、そんなものに包まれて春の夜を過ごした。


ほかにも春の夜を十数年分経験したけど、一番強く残っているのはこの記憶。

 

ほかに思い出すことといえば、大学のときの花見とかかなあ。夜桜が綺麗だったことを覚えている。どうやらわたしの春には夜桜が必須みたいだ。


社会人になってからの春は、忙し過ぎて春を感じる暇もなかった。気づけば桜の季節は終わっていて、だけどそれにすら寂しさを感じる余裕がなかった。今思えばとてももったいないことをしてしまったと思う。

 

だって、100歳まで生きたって人生で春は100回しかやってこない。


高校のときは、春も夏も秋も冬もほとんど同じ夜だった。春も夏も秋も冬も、家から片道1時間の自転車の道のりを、ただひたすら行って帰って行って帰って、繰り返した。

 

 

 

 

 

 

今年も、もうすぐ春が来ると思うと待ち遠しくて

外はまだ寒いのにどうしても薄着で出かけてしまう。

 

 今年の春はどうしようか。

何年たっても思い出す春になったらいいな。

 

 

ああ、早く、春よ来い。