見ているだけじゃ足りない
付き合いたいわけじゃない たまに遠くから見てるだけでいい それだけでいい 【夜、あなたの甘い声】
わたしはこの感情を知っている。
付き合えるなんて思いもしないのだ。あまりにも世界が違いすぎるように見えて。だけどそのあまりにも違う世界のあなたを好きになってしまったものだから、どうしようもなくて。そばにいられなくてもいいから、好きでいさせてほしいという切ない願いなのだ。
切ないという気持ちが心にたまって溢れると、空を見上げてしまう。
どうしようもなくて、消化しきれない気持ちを、ただ空気に溶かすしかない。
そんなの、言えばいいじゃん、と言ってしまえる人には、たぶん一生わからないと思う。
そういえば最近わたしが気になっているひとも、ずっと見ていたい人だなあ。
服のセンスがよくて、所作がきれいで、紡ぐ言葉にも惹きつけられる。彼の1日を撮影した映像があるなら、ずっと見ていたいと思うくらいに。
だけどね、これはわたしがいない世界を歩いている彼に惹かれているということで、彼がわたしと向き合ったときどうなるかを考えると少し怖い。
好きだなあと思っていた人が、向き合ってくれたとたんに好きでいられなくなったことが何度もある。
好きな人が向き合ってくれるなんて奇跡で幸せなことなのに、なんでうまくいかないんだろうか。
ほんとうは、きっと、
見ているだけじゃ足りない。